ダイヤモンドの選び方で値段以外に大切にしたいこと

ダイヤモンドの価値

こんにちは、ともやんです。

20年以上ダイヤモンドバイヤーを経験してきた私にとって、特に婚約指輪の販売現場におけるダイヤモンドの選び方には、どうしてもひとこと言いたくなることがあります。
それは、なにか大切なことが見過ごされているように感じるからです。
しかも、ダイヤモンドの場合、それが間違いとは言い切れないところが、話の複雑なところでもあります。

今回は、ヤフー知恵袋の質問に対する回答を例に、ダイヤモンドの価値と価格について深く掘り下げてみたいと思います。

ダイヤモンドの選び方で値段について

4,5年前のお話しで恐縮ですが、ヤフー知恵袋に、ある若い男性から次のような質問が寄せられていました。

次のダイヤモンドの婚約指輪を購入したが、価格が適正かどうか、という内容です。
・ラウンドブリリアントカット
・0.240ct
・カラーF
・クラリティVVS-1
・3EX H&C
166,669円は適正価格でしょうか?
なお、相談者の購入されたショップは、フルオーダー、セミオーダーを売りにしているお店。

この質問に対し、ベストアンサーとして選ばれていたのは以下の回答でした。

一般の小売で 9万円から11万円くらいが適正価格です。
0.24ctで18万円なら、Dカラー、IFが購入できます。

はっきり言って、この回答は間違ってはいませんが、質問者を不必要に不安にさせただけだと感じました。
そして、それがベストアンサーとして扱われていることに、私はとても悲しい気持ちになったのです。

ダイヤモンドのグレードと価格は一対一ではない

なぜ私がそう思うのか、その理由をお話しします。
まず、大前提として、ダイヤモンドのグレードに値段が付いているわけではありません。
似ているようで、まったく違う考え方です。
価格は、そのダイヤモンドそのものに付いています。

ダイヤモンドは、言わずと知れた天然の鉱物です。
そして、熟練した職人がひとつひとつ丁寧にカッティングして仕上げていきます。
だから、工業製品とは違い、まったく同じものは二つとありません。
唯一無二の存在なのです。

私たちダイヤモンドバイヤーは、海外の取引先でダイヤモンドを買い付ける際、自身の長年の鑑識眼を頼りに、そのダイヤモンド一つひとつの価値を見極めて値段を付けていきます。

しかし、日本国内で業者間の取引を行う際は、取引をスムーズに進めるため、4C(カラット、カラー、クラリティ、カット)という共通の基準に基づいて相場価格で取引されます。
このため、バイヤーは買い付けの段階で、いかに4Cの基準に見合ったダイヤモンドを仕入れられるかを重視します。

ところが、これが小売りの段階になると、価格に大きな差が生まれてくるのです。

質問者の方が購入された「0.240ct F VVS1 3EX 166,669円」というダイヤモンドと、ベストアンサーの「9万円から11万円」という回答は、どちらもジュエリーという製品になった段階での価格です。
そして、このくらいの価格差は、ごく当たり前に生じるものなのです。

つまり、ダイヤモンドはあくまで婚約指輪の素材にすぎません。
そのダイヤモンドが婚約指輪という一つの製品になったとき、その価格には、お店がその商品にどれだけの時間や手間、想いを込めたかが反映されます。
それは、製品の品質やデザイン、接客、そしてお店のブランド価値といった、目には見えないけれど確かな価値として価格に上乗せされるのです。

選び方の基準は「満足度」で判断すべき

さらに重要なのは、質問者の方が購入されたショップは、フルオーダーやセミオーダーを強みとしているお店だったということです。
これは、画一的な商品ではなく、世界にひとつだけのオリジナル性や特別感を大切にしているお店だということを意味します。

一方、ベストアンサーで提示された「9万円から11万円」という価格は、おそらく大量仕入れや効率的な販売で価格競争力を打ち出しているお店での相場でしょう。

質問者の方は、ご自身の購入したダイヤモンドが相場よりも高いと嘆き、彼女に申し訳ないと書かれていましたが、その気持ちは痛いほど分かります。
しかし、贈られた彼女はきっと、その特別感に心から喜んでくれたのではないでしょうか。

彼女が本当に欲しいのは、ただの石ころではありません。
二人の未来を象徴する、特別な想いのこもった指輪なのです。

安売り専門のショップに行けば、確かにベストアンサーの回答通りの価格でダイヤモンドを手に入れることはできるかもしれません。
しかし、その指輪に、彼女はどれほどの感動を覚えるでしょうか。

価格だけを追求することは、確かに賢い消費の一面です。
しかし、婚約指輪のような一生に一度の買い物において、最も大切なのは価格の安さよりも、贈る相手の心を満たせるかどうかではないでしょうか。

最後に、目指すは「相手の喜ぶ顔」

私はジュエリーの専門商社に37年間勤め、そのうち20年間、ダイヤモンドの買い付けや国内での卸業務に携わってきました。

買い付けや卸売りの段階では、ダイヤモンドの4Cを基準とした相場価格が存在します。
しかし、それが小売りの段階になると、価格は単純なグレードだけでは決まらなくなります。

それは、ダイヤモンドが「ジュエリー」というひとつの製品になるからです。

有名ブランドのダイヤモンドジュエリーは、そのブランドの信用やデザイン、ストーリーといった付加価値が加わり、価格が高くなるのが一般的です。
一方で、老舗の宝飾店やオーダーメイドの店では、卓越した職人技や丁寧な接客、そして特別なデザインといったサービスが価格に反映されます。

これらは、すべて各店舗の明確な戦略なのです。

ダイヤモンドのグレードだけを見ると相場よりも高く感じるかもしれませんが、有名ブランドの指輪を贈れば、彼女はきっとそのブランドの持つステータスやデザインに満足してくれるでしょう。
そして、彼女だけのためにデザインされた世界にひとつの指輪なら、きっと計り知れない喜びを感じてくれるはずです。

もちろん、価格の安さだけを追求するお店も存在します。
もし彼女が、何よりも価格の安さに価値を見出すタイプなら、それも一つの選択肢です。
しかし、そのお店のアフターサービスや、購入後のサポート体制は本当に大丈夫でしょうか。

ダイヤモンドを贈ることで私たちが目指すべきゴールは、相手の喜ぶ顔です。
その喜びは、単純な価格の数字では測れない、もっと奥深いところにあるはずです。

今回のヤフー知恵袋の回答は、ダイヤモンドの複雑な価値構造を無視し、質問者の不安を煽ってしまったように感じます。
ダイヤモンドを選ぶ際に最も大切なのは、グレードの数字や価格の相場ではなく、
**「どんな想いを込めて、どんな指輪を贈りたいか」**という、もっと本質的な部分だと思います。

もしあなたが今、婚約指輪選びに悩んでいるなら、ぜひ価格だけでなく、彼女が本当に喜んでくれるのはどんな指輪なのか、じっくりと考えてみてください
その答えが、最高の指輪選びにつながるはずです。

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