我々がいま目にする研磨されたダイヤモンド。
普通は、研磨(カット)された状態のダイヤモンドしかみないので、
ダイヤモンドは、大昔から研磨されていたように思われがちですが、
実は、相当長い年月、その研磨の技術は、謎に包まれていたのです。

それでは今日は、ダイヤモンドの研磨について考えて行きたいと思います。
ダイヤモンドのカット 研磨の起源は?
ダイヤモンドの研磨が、実はいつどこで始まったかまったく定かではないのです。
一般的には、ダイヤモンドの研磨は、インドを起源として、
それが西欧に伝わった後に、大幅に改良されたとみるのが妥当です。
フランスの宝石商であり、大旅行家でもあるタベルニエは、
1684年に刊行された
「6つの航海記」の中で、以下のように述べています。
ダイヤモンドがきれいな場合は、インド人はそれを研磨板の上でさっと磨くだけで、それを成型しようとはしない。
重量が減るのを恐れるのだ。
もし沢山の傷があると、彼らはそれにファセット面をカットする。
傷が少しの場合は、それを隠すために、ファセットの接点傷が来るようにカットする。
ダイヤモンドのカット 古代インドではカボション・カット
古代インドでは紀元前からダイヤモンドが採取されており、
その比類なき硬さと独特な輝きから神秘的な力を授ける宝石と信じられていました。
古代インド人たちは高度な研磨技術を身につけており、
ダイヤモンドに平らな研磨面を施すこともしていますが、
彼らは丸く磨いたカボション・カットのように
面をつけていない石をむしろ好んでいました。
研磨面がありダイヤモンドの輝きを増すカットの開発が進むのは
中世ヨーロッパ(14世紀以降)の時代まで待つ必要がありました。

ダイヤモンドのカット技術は、門外不出の家業だった
タベルニエの「6つの航海記」だけではなく、その他の資料や伝説に照らしても、
ダイヤモンドのカットがインドで始まったことは間違いなく、それがヨーロッパに伝わった後、僅かな改良に手を貸した程度と言うの事実だとされています。
結局、ダイヤモンドのカット技術が、どのように脈々と伝えられたかとよくわからないということは、カットの技法が、ある職人のその家族だけの秘伝であって、軽々しく公開されたり、書き物に残されたりしなかったことが、カットの起源がよくわからない
最大の理由ですね。

ダイヤモンドの研磨は、最後の手工業と言われる事もあるように、
研磨工が今でも使う、スカイフ(回転する円盤)や、ダイヤモンドをつかんで固定するドップというのは、基本的に大昔と一緒です。
つまりこのような道具を使う技術も、門外不出の家業だったり一子相伝といった秘伝として伝わったため、現代になってカットの歴史をたどろうとしてもよくわからないわけです。
まとめ
ダイヤモンドに関わる仕事をしていても、
ダイヤモンドの歴史を知ることはあまりありません。
ダイヤモンドにはかつてロマンがありました。
しかし、現在大量のダイヤモンドが世界に流通しています。
もうそんなに珍しい物質でもなくなりました。
それでも、ダイヤモンドに惹かれるのは、なぜでしょう。
それは、地球上もっとも硬い物質の誕生から人類に発見されるまでの長い、長い歴史からくるロマンだと思います。
どんな多くのダイヤモンドが流通しようと、そのダイヤモンドは、それぞれ唯一ものなのです。だから、人々は、それぞれのダイヤモンドに想いを馳せるのでしょう。

