泥棒の中でも、わざわざ宝石泥棒という名詞があるほど、
宝石には泥棒が付きもです。
現在のように高額品、貴重品専門の輸送業者がいても
そのセキュリティには緊張がついものです。
ベルギーのアントワープのダイヤモンド取引所から、
輸送業者によりダイヤモンドが搬出されるとき、
脇には武装する警備員がいて、その方からは自動小銃が下げられていました。
そしていざ、搬出されようというときは、
その自動小銃に手を掛け、いつもで対応できるようにしていました。
また、香港の宝石店の横には、ショットガンを構えた警備員が
椅子に座ってはいても、店内に入る人々にに鋭い視線を向けていました。
それだけ海外では、宝石、特にダイヤモンドが狙われる可能性が高いのでしょう。
日本でもダイヤモンドが盗まれる
僕が、ダイヤモンドルースの輸入卸の業務についていたころ、
当初はダイヤモンドケースといって、
タテ×ヨコ×深さ10cm×25cm×5cmの革製のケースに、
パーセルに入れたダイヤモンドを入れ、
それをアタッシュケースに入れて営業に持ち歩いていました。
でも、ある時同業者でこんな事件がありました。
某ダイヤモンド業者のAさんが、
御徒町で信号待ちをしていると
ある女性が、彼の足元を指差しました。
そうしたらそこに千円札が落ちていたのです。
彼は自分が落としたと思い、持っていたカバンを路上に置き、
自分のスーツの財布とか調べました。
そのスキにカバンが盗まれたそうなんです。
犯人の逃走方法は詳しくは聞けませんでしたが、
複数人のしかも外国人のよる犯罪だったようです。
その情報を受けて、僕の所属する会社が、
手に持つだけのアタッシュケースではなく、
肩掛けのカバンに変更しました。
ダイヤモンドすり替え事件
毎年1月に国際展示場(東京ビックサイト)で行われる
国際宝飾展(IJT)でも、犯罪集団が暗躍しているとうわさされています。

うわさだけでなく実際に被害にあった業者も知っています。
ある年、オープン前に自社のブースに商品を持ち込んで、
さあ準備しようという矢先に盗まれたという時間がありました。
スタッフが目を離したほんのちょっとのスキにやられてと思います。
館内放送でも頻りに注意を促しています。
また、接客時も気を付けないといけません。
ある業者では、2カラットか3カラットの
大粒ダイヤモンドの商談をしていました。
IJTにはいろいろな国から人がやってきます。
いちいち疑っていたらキリがありません。
ただ、原則相手が通路、こちらがブース内でガラスケース越しに
大粒ダイヤモンドの商談をしてはいけません。
また、ダイヤモンドも絶対ケースから出してはいけません。
大きな商談の場合は、必ずブース内で
複数の人間で当たるべきです。
すり替えられたときは、
それらの基本的なことを守らずにいて、
あとで、ダイヤモンドの重量を測ってようやく
すり替えられたことがわかったのです。
僕も狙われたのかもしれない
盗難集団は、それ自体プロですから、
しっかり準備してことに掛かります。
いつもダイヤモンドを持ち歩いている人間は、どの時間にどこを通って、
どういう行動をしているかをしっかり観察しています。
だから狙われる人間にはその行動にスキがあるということです。
僕は幸いにも事件に遭遇することなく、
盗難にもあったことはありませんが、
自分の行動がワンパターンにならないよう気を付けていました。
ある日、御徒町を歩いていて、ある外国人(アラブ系らしき風貌)と目が合いました。
そして、取引先回りを終えて、地下鉄仲御徒町駅付近で、またその外国人と会ったのです。
明らかにつけられている風でした。

私は人通りの多いところを選んで歩き、
素早く地下鉄に乗り込んで会社に戻りました。
またある時、ダイヤモンドを買いたいと会社に連絡が入りました。
基本的に、ダイヤモンドを先方から売ってほしいということは非常に珍しく、
悪く考えれば取り込み詐欺の疑いもあります。
さて、しかもそのダイヤモンドを買いたいと連絡してきた人は、
私の指名したらしいのです。
それで外出中に私の携帯に連絡が入り、こちらから電話すると
ダイヤモンドを購入したいからと、あるマンションの1室を指定したのです。
これはいくらなんでも行けませんよね。
誰がいるかもわからないし、命を落とすかもしれません。
まとめ
ダイヤモンドが狙われやすいのは、
その換金性の高さと所有者を限定しずらいということです。
僕は、営業に出るとき、必ず持ち出す、
ダイヤモンドのソーティングペーパーをコピーしていきます。
またパーセルに集合体で入れて持ち出すときは、
必ずキャラットを測って、重さを確認して持ち出します。
また営業から戻った時も必ず持ち出しと戻りが合っているかとチャックをします。
ダイヤモンドの輸入卸の営業として約20年間やってきて
一度も事故に合わなかったこと本当に幸運だったと思います。

