007ジェームズ・ボンドシリーズの「ダイヤモンドは永遠に」の原作者、
イアン・フレミングは、1908年生まれの英国人で、
ミュンヘンとジュネーブの大学を卒業後、
ロイター通信の記者、やタイムズ紙の特派員として
活躍した気鋭のジャーナリストでした。
クラシック音楽ファンなら気づくでしょうが、
帝王と言われたヘルベルト・フォン・カラヤンや
最後の巨匠と言われた朝比奈隆と同い年です。
でもフレミングは、1964年に58歳で
二人の巨匠よりも大分早く亡くなっています。
さて、フレミングはジャーナリストとして
世界各地を飛び回っている中で、
ダイヤモンドの知識も培っていったものと思われます。
今日は、ジェームズ・ボンドシリーズを軸に
ダイヤモンドのカラーについて書きます。
ダイヤモンドは永遠に カラーグレードへのこだわり
007シリーズ『ダイヤモンドは永遠に』の冒頭に、
「宝石の質」と題された一章があります。
そこから一部引用してみます。
「きみがいま見たやつは、最高級品で<純蒼白>というやつだ」Mはボンドの前の大きなダイヤモンドを指して言った。「つぎのこいつは<純無色透明(トップクリスタル)>の10カラット。(中略)これもかなりいい宝石だが、<蒼白>の半値だ。かすかに黄色っぽい色が見えるだろう。その次に見せる<ケイプもの>は、ヤコピーの話では、ちょっと茶色がかってるんだが、わしには、さっぱいわからん」
(イアン・フレミング作『007号の冒険』井上一夫訳、東京創元社)
英国秘密諜報部員ジェームズ・ボンドは、
この後、ピンクやブルーのファンシー・カラーのダイヤモンド、
そして工業用のものまで見せられて、
上司のMよりダイヤモンドについてのレクチャーを受けました。
ダイヤモンドは永遠に ガイ・ハミルトン 、 ショーン・コネリー
ストーリー
200万ポンドにのぼるダイヤモンドが密輸され、しかもそれが闇市場にも出回っていない。もし何らかの意図で貯めこまれるとすれば、ダイヤモンド産業は一挙に危機にさらされてしまう、とダイヤモンド協会が恐れている。イギリス秘密情報部の上官Mは007号ジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)にこう前置きし、現在計画されているダイヤ密輸の運び屋に変装し、アメリカ密輸シンジケートに潜入せよと命じた。。。。
007/ダイヤモンドは永遠に
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ご興味ある方は映画.comのサイトでチェックしてみてください。
ダイヤモンドは永遠に 微妙なダイヤモンドのカラー
上記の『ダイヤモンドは永遠に』の一説の中で、
ボンドの上司Mは、素直に告白しています。
<ケイプもの>がちょっと茶色がかっているのを、
自分はわからないと言っているのです。
その時、Mの目の前には、<純蒼白>=D、Eカラー、
<トップクリスタル>=F、G、Hカラーのダイヤモンドが
置かれていたにもかかわらずです。

日本でもダイヤモンド婚約指輪を選ぶ際、
Dカラーにこだわる人、
またはDカラーをすすめる販売員は多いのですが、
じゃ、指にはめている人のカラーグレードがわかりますか?
まず絶対わかりません。
特に婚約指輪の主流のサイズの0.30カラット前後となると、
指輪にセッティングして嵌めていれば、
どんな熟練したダイヤモンドバイヤーでも
DカラーとHカラーを識別する音はできません。
それほど、微妙な差なのに、値段は大きく変わってくるんですね。
ダイヤモンドは永遠に カラーにこだわるよりも大きさに
上記のようにどんな熟練したダイヤモンドの目利きでも、
人が嵌めているダイヤモンドのカラーを識別することはできません。
では、なぜ販売員はDカラーをすすめ、お客は、Dカラーを求めるのか?
まず販売する方は、セールストークがシンプルで分かりやすいからです、
「無色透明で、最高のカラーですから、純白のイメージでご婚約指輪に相応しいですよ、、、」などと。
購入者は男性の方が多いですから、
相手の女性に「Dカラーって、無色透明で一番いいカラーなんだよ。しかも希少価値も高いしね」と説明しやすい。
でも、考えてみてください。
ダイヤモンドの値段は、4Cの相互関係に決まります。
Dカラーのこだわれば、クラリティーを下げるか、
小さいダイヤモンドにしなければなりません。
問題は、Dカラーにこだわるあまり小さいダイヤモンドになることです。
人が嵌めているダイヤモンドの指輪の
カラーやクラリティーグレードはわかりませんが、
大きさはわかります。
20代から30代の会社員の男性が、
婚約指輪に使える予算は、
現在はやや下がり気味で20万円前後です。
頑張っても30万円というところでしょうか。
50万円以上出せるひとは少ないでしょう。
それなら余計DカラーにこだわらないでGかHカラーで抑え、
クラリティーもVSクラス程度にしてできるだけ
予算内で大きなダイヤモンドを選ばれることをお勧めします。
まとめ
僕は婚約指輪と選ぶなら、
ある程度のグレードで出来るだけ大きいもの、
そして輝くものというスタンスです。
これは、ダイヤモンドバイヤーとして働きだしてから一貫しています。
だって、自分や人が目にするのは大きさであり、輝きですから。
なぜ日常的に見える部分を我慢して、
鑑定書を調べないとわからない、
カラーやクラリティーグレードにこだわるのでしょう。
それは、見栄と自己満足のためです。
彼から無色透明で無傷のDのVVS1でエクセレントのダイヤモンドを贈ってもらったの。
と人に言えるけど、
HカラーVS2でベリーグッドのダイヤモンドを贈ってもらったの。
大きくてすごく輝くのよ、とは言えないのだろうか?
もと名よりも実を取ることを考えたいですね。

